投資には詐欺がつきものですが、仮想通貨も例外ではありません。
特にここ数年、仮想通貨に関する詐欺は世界的に急増しており、手口も巧妙になっています。
この記事では、仮想通貨の詐欺手口とよくある購入トラブルについて紹介しますので、詐欺にひっかからないためにお役立てください。
仮想通貨の詐欺手口とよくある購入トラブル
仮想通貨に関する詐欺については、国民生活センターや消費生活センター、警察などに数多く相談や報告があります。
相談件数は2017年から急増し、2018年にいったんピークを迎えて減少傾向にありましたが、2021年に入るとまた増加傾向にあるようです。
仮想通貨の詐欺手口は種類が非常に多く、投資初心者を対象にした詐欺から、仮想通貨のしくみを良く知っているかたでもだまされるような詐欺まで様々です。
また、詐欺とまでは言えないものの、知識不足などの理由による購入トラブルも後を絶ちません。
仮想通貨の詐欺手口
仮想通貨の現物(レプリカ)を売買する
仮想通貨の取引は全てネット上で行われ、紙幣や証券のような現物は存在しません。
ところが、ビットコインやライトコインなど一部の仮想通貨にはレプリカがあり、それを仮想通貨と偽って売りつける詐欺があります。
仮想通貨の基本を知っていればひっかかることはありませんが、全く知識のない主婦や高齢者などはターゲットになりやすいです。
仮想通貨をプレゼントする代わりにビットコインを送れと指示
SNSやメールで、「おめでとうございます。ビットコインが当選しました」などの文面で、仮想通貨をプレゼントする代わりに、指定するURLに少量のビットコインを送るように指示をしてくる詐欺です。
少量のビットコインを送る理由として口座の確認などの理由が記載されていますが、仮想通貨の公開鍵のしくみを知っていれば、そんな必要はないことがわかります。
脅迫してビットコインを要求する
企業や公共施設などを脅迫し、ビットコインなどの仮想通貨を要求するケースはニュースになりますが、個人に対しての脅迫も多く報告されています。
例えば、「あなたのパソコンの画面をスクリーンショットした」などのメールが送られ、その画像を拡散されたくなければ指定したアドレスにビットコインを送るように、など要求されます。
会社の個人情報やアダルトサイトなど、なんらかの心当たりは多くのかたがあるため、つい支払ってしまうケースもありますが、言うまでもなく詐欺です。
マッチングアプリで知り合った知人からの勧誘
出会いを求めてマッチングアプリを利用するかたが増えていますが、その中にはあなたをだます目的で近づいてくる詐欺師もまぎれています。
結婚資金や新居建設の費用などの名目で仮想通貨を要求したり、投資サイトに仮想通貨を振り込ませたりするなどの手法があります。
仮想通貨は、クレジットカードや電子決済と異なり秘匿性が高く、詐欺と気づいた後でも追跡はほとんど不可能なため、この種類の詐欺によく利用されます。
マッチングアプリ以外にも、SNSで友達になった、投資セミナーで仲良くなったなどのケースもあり、マルチ商法になっていることもあります。
たとえ、親しい友人や親戚であっても、情報を鵜呑みにせず、少しでも怪しいと感じたらきっぱり断る勇気を持ちましょう。
高額配当で仮想通貨が手に入る
ハイプなどが有名ですが、仮想通貨の高額配当をうたったネット商法が後を絶ちません。
配当を得ることができないどころか、購入した仮想通貨を出金できなくなるなどのトラブルが多数、報告されています。
似たような手口で、仮想通貨の価格保証をするというものがありますが、仮想通貨の市場はボラティリティが非常に高く、価格保証すること自体がほとんど無理なため、詐欺を疑った方が良いでしょう。
ICO詐欺
ICOとは、新規の仮想通貨を公開するにあたり、投資家に独自の仮想通貨を購入してもらい、その資金で仮想通貨を開発するという手法です。
株式のIPOと同じしくみです。
ところが、ICOで資金調達したものの、事業を起こさずに資金を持ち逃げする詐欺が多発しました。
また、詐欺ではないものの事業がうまくいかずに仮想通貨の価値が暴落し、大きな損失となった、または開発が大幅に遅れるなどの購入トラブルも多いです。
仮想通貨そのものが詐欺
ビットコインやイーサリアムなど、高い価値のある仮想通貨からほとんど無価値となっている仮想通貨までありますが、そもそも仮想通貨が実体をもたない詐欺目的というものもあります。
有名なのがクローバーコインとノアコインです。
クローバーコインは、ロードマップやホワイトペーパーもなくセミナーのみで高額配当をうたい、そのセミナーの内容も虚偽が多くありました。
クローバーコインの詐欺に関しては日経新聞にも掲載されたため、ご存じのかたも多いかもしれません。
ノアコインは、フィリピンの社会問題を解決するためと称して、多くの日本人が購入した仮想通貨です。
社会貢献の意味と、価値が高額になるなどの理由で人気となりましたが、フィリピン政府はノアコインとの関与を否定しており、開発状況も不透明なため、返金に関するトラブルが発生しています。
仮想通貨のよくある購入トラブル
仮想通貨を引き出すことができない
購入した仮想通貨は、ウォレットや取引所に預けておきますが、その仮想通貨を引き出すことができないというトラブルはとても多いです。
まず、基本的な仮想通貨の入出金の方法を知らないことが考えられます。
海外の仮想通貨取引所を利用しているかたは、出金方法がわからずカスタマーセンターに問い合わせることもできない、という可能性もあります。
また、日本人であることなどを理由に、出金制限をかけられることがあります。
そのようなトラブルを防ぐために、国内の仮想通貨取引所で金融庁に登録されている仮想通貨交換業者を利用すると安心です。
ウォレットや仮想通貨取引所に預けた仮想通貨が、ハッキングの被害に遭い、流出してしまう可能性もあります。
多くの場合、流出した仮想通貨を取り戻すのは不可能です。
それ以上の被害に遭わないために、パスワードの変更や使い回しをやめるなどの措置をとりましょう。
期間限定をアピールする
これは必ずしも詐欺とは限りませんが、期間限定で考える時間を奪い、慌てて仮想通貨を購入させる方法があります。
人は、慌てると正常な思考や判断ができなくなるため、じっくり考える時間がない場合は見送る方が無難です。
まとめ
仮想通貨の詐欺手口とよくある購入トラブルについて見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 仮想通貨に関する詐欺やトラブルは後を絶たない
- 高額配当や必ず儲かるなどをアピールする場合、詐欺を疑うべき
- 仮想通貨のしくみや取引方法などをよく理解することがトラブル回避のために重要
仮想通貨に関する詐欺やトラブルは、多くの機関に報告されており、その件数は増え続けています。
高額配当を得ることができる、仮想通貨が当選した、期間限定などの方法で仮想通貨を薦められた場合は、詐欺を疑いましょう。
仮想通貨の詐欺や購入トラブルの多くは、仮想通貨のしくみを知る、ICOについて調べる、仮想通貨取引所の安全性を確認するなど、基本的な注意事項さえ守っていれば防ぐことが可能です。