仮想通貨は、ブロックチェーンのしくみ等により、従来の金融資産と比較してセキュリティが高いことが評価されています。
その一方で、仮想通貨には様々なセキュリティ上のリスクが指摘されており、実際に仮想通貨投資をめぐる被害や損失が世界中で発生し続けています。
この記事では、仮想通貨のセキュリティ上のリスクと安全に投資する方法を説明します。
仮想通貨のセキュリティ上のリスクと安全に投資する方法
仮想通貨はデジタル上にのみ存在するため、物理的に盗難される心配はありません。
そして、仮想通貨のブロックチェーンは公開鍵と秘密鍵という別々の暗号により保護される技術を採用しており、分散性や改ざん防止など優れたセキュリティを誇ります。
秘密鍵を記載したメモを盗難されるなどにさえ気をつければ、通常は安全に仮想通貨を保管できます。
ところが、仮想通貨が登場して10年以上が経過する中で、仮想通貨のセキュリティが脅かされたり、セキュリティの脆弱性をつかれたりする事件が数多く発生しています。
仮想通貨取引所へのハッキング
大規模な仮想通貨取引所へのハッキングとしては、マウントゴックス事件やコインチェック事件などが有名ですが、小さなハッキングを含めると膨大な数に上ると言われています。
原因は様々ですが、顧客資産をコールドウォレットではなくホットウォレットに保管していた、サイバー攻撃をしかけられた、フィッシングメールを開封したことで取引ネットワークへの侵入を許した、マルウェアの被害を受けたなどがあります。
これらは、仮想通貨そのもののセキュリティというよりは、仮想通貨の取引所のセキュリティ対策が甘かったことが主な要因です。
対策としては、コールドウォレットで資産を保管、もしくは第三者機関に資産を預けている仮想通貨取引所を選ぶ、仮想通貨はトレード時以外には自分のウォレットに保管しておくなどが考えられます。
51%攻撃
51%攻撃とは、ブロックチェーンの弱点をついたネットワークの乗っ取りのことです。
ブロックチェーンは、マイニングにより新たなブロックが生成され、それには全員の合意が必要です。
そして、一番長いチェーンが正しいチェーンと認識されます。
このしくみを悪用し、特定の個人が50%を超えるマイニングパワーでブロックを新たにつくってしまい、それが一番長いチェーンとなると、ブロックチェーンの履歴が書き換えられます。
この51%攻撃は、ブロックチェーンのしくみそのものに関わる問題で、過去にも多くの仮想通貨がこの攻撃を受けていますし、今後も起こりえます。
ウォレットアプリからの資金流出
仮想通貨を安全に保管するために、取引所ではなくウォレットに保管するのは正しい選択ですが、実はウォレットによってセキュリティレベルは大きな幅があります。
最も安全なのはハードウェアウォレットですが、購入に資金が必要なため、無料で簡単に利用できるウォレットアプリを使用するかたも多いです。
ウォレットアプリにはオンラインで利用できるものと、パソコンのデスクトップなどにインストールするものなどがあり、スマホで利用できるものも急速に増えています。
これらの中には、著しくセキュリティレベルの低いものや、詐欺目的のものもあるため、注意が必要です。
例えば、秘密鍵を暗号化せずにWebサイトに公開されてしまう、仮想通貨を預けたものの引き出すことができず、サイト自体にアクセスできなくなるなどです。
安全に投資するには、特定の取引所やウォレットに全ての仮想通貨を預けるのではなく、適度に資産を分散し、取引実績の高い国内の取引所を主に利用しましょう。
ウォレット、特にハードウェアウォレットは海外のものに偏っているため、最低限の英語の知識も必要となることがあります。
また、二段階認証を設定することにより、ハッキングされる確率を大幅に下げることが可能です。
セキュリティソフトの導入も、マルウェアやフィッシングメール対策などに有効です。
まとめ
仮想通貨のセキュリティ上のリスクと安全に投資する方法について見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 仮想通貨にもセキュリティ上のリスクが存在する
- 取引所に対するハッキングや51%攻撃などのリスクがあるため注意が必要
- ハードウェアウォレットに仮想通貨を保管するなど対策をすべき
仮想通貨は比較的安全な金融資産ですが、様々なセキュリティ上のリスクが存在し、大規模なハッキングなども発生しています。
そのため、仮想通貨のセキュリティ上のリスクを正しく把握し、その対策を確実に行うことで、安全に投資することが大事です。
秘密鍵を安全に保管する、コールドウォレットの導入など顧客資産を安全に保管する仮想通貨取引所を選ぶ、仮想通貨はハードウェアウォレットを中心に分散して保管するなど、リスクを回避して安全に投資しましょう。