近年、分散型ネットワークの評価が上がっていますが、かなり以前から分散型ネットワークのしくみを実用化させようとしていた仮想通貨、ステラ・ルーメン(XLM)をご存じでしょうか?
ステラ・ルーメンは元々人気が高く、2021年現在でも時価総額ランキング上位に位置しています。
この記事では、ステラ・ルーメン(XLM)のしくみと特徴、主なリスク、ステラ・ルーメンを取引できる取引所について説明します。
ステラ・ルーメン(XLM)のしくみと特徴、主なリスク
ステラ・ルーメン(XLM)のしくみと特徴
ステラ・ルーメンは、2014年にステラ開発財団が開発し発行された仮想通貨です。
開発者の一人ジェド・マケーレブ氏は、マウントゴックス社の創業者の一人でもあり、さらにリップル社の創業にも関わったことがある人物です。
その影響もあり、ステラ・ルーメンのしくみはリップルに似ています。
ステラ・ルーメンの金融サービス
ステラ・ルーメンは、主に新興国の個人が取引しやすい金融サービスを提供することを目的としているのが特徴です。
新興国では銀行口座を持たないかたも多く、また持っていても国際送金の手数料が高すぎるため使えないケースもありますが、ステラ・ルーメンはそのようなかたでも平等に金融サービスを受けることが可能です。
開発や運営に関してはステラ開発財団が行っていますが、取引自体は分散型ネットワークを利用しており、取引台帳が監視されることはありません。
ステラ・ルーメンの主な用途は、ステラのネットワークを利用した送金の際の取引手数料を支払うことです。
通常、複数の通貨間での送金は時間やコストがかかりますが、XLMを手数料として利用することにより、スピーディーで簡単に取引が行われ、コストも削減できます。
二つの通貨の橋渡しをするという意味で、ステラ・ルーメンは「ブリッジ通貨」とも呼ばれます。
全てのXLMは、すでにステラ開発財団より発行済みで、2019年11月に大量のバーンをするなどしてXLMの流通量を調整しています。
ステラ・ルーメンの実用性
ステラ・ルーメンの実用性で話題になったのが、2018年9月のIBM社との提携です。
アメリカの大手IT企業のIBM社との提携が注目を集め、XLMの価格が創業時の約290倍にまで高騰した時期もありました。
その後も複数の大手企業がステラ・ルーメンと提携していることから、実用性の高さへの期待感があることがわかります。
SCP(ステラ・コンセンサス・プロトコル)
ステラ・ルーメンはマイニングを必要とせず、その代わりにSCP(ステラ・コンセンサス・プロトコル)という独自の取引承認のしくみが採用されています。
このSCPが、決済速度の飛躍的な向上を実現させました。
リップルの場合、取引承認のために80%以上の同意が必要ですが、ステラ・ルーメンのSCPでは3分の2の同意のみで取引が承認されます。
このしくみがうまく活用されると、新興国を含めた世界中において、安い手数料で高速な国際決済を含む決済システムを享受できるようになると期待されています。
ステラ・ルーメンのリスク
ステラ・ルーメンのリスクとして、中央集権的であることが挙げられます。
ステラ財団自体は非営利法人ですが、開発やXLM発行の全てを担っており、またステラ・ルーメンの関係者が大量のXLMを保有していることもあるため、なんらかの市場操作などが行われる可能性が否定できません。
また、リップルがアメリカのSECより訴訟を受けていますが、リップルとしくみが似たステラ・ルーメンも同様の訴訟に巻き込まれることもありえます。
また、ステラ・ルーメンの主な利用者層は、法人や先進国の個人ではなく、新興国の個人であることも、安定性を欠くという意味ではリスクとも捉えられます。
戦争・貧困・気候危機その他の要因により、安定した顧客層の獲得が難しい状況がありそうです。
ステラ・ルーメンはブラジルを拠点としており、東南アジアを中心に顧客を獲得してきました。
今後は、イスラム圏に顧客層を広げる方針で、その後はアフリカなど、世界中に広がる可能性があります。
ハイパーインフレを起こしたジンバブエでは、法定通貨よりもビットコインなどの仮想通貨の方が信頼できるとも言われており、セネガルでは全ての取引を仮想通貨で行う都市作りの構想もあります。
ただし、これらはステラ・ルーメンの用途が広がる可能性を提示しているにすぎず、少なくとも日本でステラ・ルーメンが普通の決済手段として用いられるには時間がかかりそうです。
ステラ・ルーメン(XLM)を取引できる取引所
2018年までは、ステラ・ルーメンの取引は海外の仮想通貨取引所を利用するしかありませんでしたが、2021年現在、日本国内の多くの仮想通貨取引所でルテラ・ルーメンを取引できます。
bitFlyer
bitFlyerでは、ステラ・ルーメンを販売所形式で売買できます。
1日の仮想通貨取引量が多く、安定性や信頼性の高い老舗です。
簡単にステラ・ルーメンを売買できる反面、コストがかかってしまいます。
コインチェック
コインチェックでも、同じく販売所形式でステラ・ルーメンの取引ができます。
国内の仮想通貨取引所としては、16種類と非常に多い種類の仮想通貨を扱っているのが特徴です。
やはり、販売所形式のため、コストはかかってしまいます。
GMOコイン
GMOコインでは、ステラ・ルーメンを販売所形式で取引できる他、「暗号資産FX」よりレバレッジ取引も可能です。
その他にも、「つみたて暗号資産」の利用でステラ・ルーメンを積立投資することにより、増やすこともできます。
DMM Bitcoin
DMM Bitcoinでは、レバレッジ取引でのみステラ・ルーメンの取引が可能です。
そのため、DMM Bitcoinではステラ・ルーメンの現物を保有することはできず、取引で利益を得た場合でも、差金決済による日本円を受け取ることができるのみです。
レバレッジ取引は、少ない資金で多くの利益を上げることが可能な代わりに、わずかな価格変動で大損失を被るリスクもあります。
DMM Bitcoinにはストップ高やストップ安などのしくみもないため、注意しましょう。
まとめ
ステラ・ルーメン(XLM)のしくみと特徴、主なリスク、ステラ・ルーメンを取引できる取引所について見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- ステラ・ルーメンは、主に新興国の個人が利用する決済手段として開発された
- ステラ・ルーメンはSCPのしくみにより、高速かつ安い手数料での取引を可能としている
- 国内でステラ・ルーメンを取引できる仮想通貨取引所はbitFlyer・コインチェック・GMOコイン・DMM Bitcoinなど
ステラ・ルーメンは、主に新興国の個人が利用する決済手段として開発され、すでにIBMなどの企業との提携を果たしています。
ステラ・ルーメンは分散型ネットワークのしくみを採用しており、独自のSCPというしくみにより、マイニング不要でスピーディーな取引承認が行われます。
ステラ・ルーメンを取引できる仮想通貨取引所は国内に複数あり、bitFlyer・コインチェック・GMOコイン・DMM Bitcoinなどが有名です。
販売所形式だと簡単な手続きで売買できますが、取引コストが高くついてしまいます。
レバレッジ取引は大きく稼ぐチャンスもありますが、逆に大きな損失となるリスクもあるため注意が必要です。